うたてやな関越ゆ人は紫陽花の 色な信じそあの日の私
照滴065
本文
うたてやな関越ゆ人は紫陽花の色な信じそあの日の私
形式
#短歌
カテゴリ
#6.情愛・人間関係
ラベル
#恋愛 #無常 #花 #喜怒哀楽
キーワード:
#紫陽花 #関 #嘆き #うたて #恋人 #疑念 #裏切り #記憶 #哀しみ
要点:
紫陽花の色が移ろうように、人の心も移ろい、裏切られた日の自分を振り返る。
現代語訳:
ああ、愚かだった。あの人が関を越えて去ってしまった。紫陽花の色のように変わりやすい心を、あの日の私よ、信じないで。
注釈:
うたて:情けない、愚かだ。やるせない嘆きの感嘆。
紫陽花:移ろいやすい心の象徴として用いられている。
解説:
恋に裏切られた体験を、自然の花(紫陽花)に重ねて表現。
関を越えて去る恋人との取り返しのつかない別れは、和歌の伝統的なモチーフ。
深掘り_嵯峨ほか
過去の自分を自戒する歌です。「うたてやな」と、過去の自分の浅薄さを嘆き、「紫陽花の色」(照滴032)のように変わりやすい「言葉」を「な信じそ(信じるな)」と、過去の自分や他者に警告しています。無常の理解から、自己の過去の言動さえも信用しないという、徹底した自己否定と客観視の境地を示しています。